東北大学土木同窓会50周年誌への寄稿の草稿(第2稿)。
要望に応えて、少し修正した、というかだいぶ修正したのだが。。。
これで通れば良いなぁ。
再修正の指示が出た場合は、全部書き直ししないとだめかも。
それだけは避けたい。<=時間がない
以下、全文掲載。
新常識を作る〜変動性と不確実性の管理〜/桂 利治
土木技術に限りませんが、ビジネスの世界全般において変動性と不確実性は非常に重要です。ここでは、土木技術における変動性と不確実性の取り扱いについて少し考察してみることにします。
変動性とは、”バラツキ”のことです。統計学で正規分布という言葉を聞いたことがあるでしょう。よく見るこのグラフです(図−1)。これが変動性を示すもっともよく知られた図だと思います。
例えば、再現性のある現象に関して正確な試験を行った場合、その結果はある平均値を中心にして、図−1のように分布します。その結果を数字として使いたい場合、3回試験してその平均を取るというようなことで、バラツキの影響を小さくして利用します。
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(図−1 標準正規分布のグラフ;平均値を中心にしてばらつき、±3σの間にほとんどのデータが収まる)
さて、土木の世界はどうかというと、このグラフで示せないバラツキ方をしていることが多いです。その現象はこんなグラフになります(図−2)。このような形になる一番の原因が、不確実性の存在です。 例えば、普通にやれば10日間で終わる仕事が、「台風の影響で20日間もかかってしまった」とか、「事故が発生して60日以上もストップした」などという状況が当たり前のように起こるのです。でも、台風がくるか、事故が発生するかは、事前にはわかりらない不確実なことです。 自然や人、あるいは社会を相手にする土木の仕事は、不確実性の影響を強く受け、図−2のような成功確率で動いているのです。
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(図−2 対数正規分布のグラフ;一番発生確率が高い期待値とは、10倍以上もかけ離れた結果が出る可能性もある)
製造業のような図−1に従う世界では、仕事の成功のためにはバラツキを少なくすることが大事になりますが、建設業のような図−2に従う世界では、バラツキを少なくすることよりも、ばらつくものを目的に沿ってうまく管理することが重要になります。
現在、このような変動性や不確実性に対する考察を、土木施工マネジメントの分野へ応用を図るための指導を行っています。
地場の建設業者を支援しようという発想で起業し、いろいろ悩んだ末にたどり着いたのが、TOC(Theory of Constraints;制約条件の理論)という考え方でした。TOCは「システムの制約条件への選択と集中」という非常にシンプルな概念ですが、非常に深く広い応用分野をもつ理論で、変動性と不確実性の制御ツールを実装しています。
TOCは、土木とは関係ない言葉ですので、皆さんは聞いたことがないと思いますが、こうした土木と関係ない技術を土木技術と融合し、土木の世界にマネジメント技術の革新をもたらそうと取り組んでいます。
近い将来、土木の世界でも常識となることを目指しています。